料理は半煮えで餅は牛の舌のようだった【小倉住吉神社】

少し前のことですが、福岡県春日市に鎮座する『春日神社』を訪ねたことがあって↓

その『春日神社』には

『春日の婿押し』という風習があることを知ったわけですが、↓

春日市には(私的に)もう一つ気になる風習があるんです。↓

その名は『嫁ごの尻たたき』。【小倉住吉神社】で行われている風習だと聞きましたので、さっそく訪ねてみることにしました。

 

「春日横断通り」から細い道をくねくね住宅街へと入っていくと↓

ぱっと道がひらけたところに【小倉住吉神社】が鎮座しています。↓

案内板によりますと、ご祭神は『住吉三神』の「表筒男命(うわつつのおのみこと)」「中筒男命(なかつつのおのみこと)「底筒男命(そこつつのおのみこと)」。

創建年は不明。『博多住吉神社』から勧請され

ここ小倉地区の守り神として代々信仰を集めてきたのだそう。

秋に行われる例祭では『半煮えの献立』と『牛の舌餅』がお供えされます。え?ん?

ネーミングがトガっているう!ちなみにこの献立というのは↓

神功皇后が小倉村に立ち寄られたとき、村人が慌ててお出しした料理が半煮えで餅は牛の舌のようだった

という言い伝えからきているとのこと。え?それ出しちゃうの!?

 

こちらは『八龍宮』。ご祭神は「高龗神(たかおかのかみ)」で、雨乞いの神様だそうです。↓

さて、肝心の【嫁ごの尻たたき】のお話を。↓

まずは境内の案内板からそのまま参照します。↓

小倉に江戸時代から伝わる新年の行事で、十四日夜、この一年間に結婚した花嫁さんは姑(しゅうとめ)さんにつれられて【住吉神社】にお参りし、そこでお神酒(みき)をいただきます。

このお神酒をいただいた事により、はじめて『氏子(うじこ)』となります

そして↓

左義長の火のそばで、村の子ども達がワラで作った棒を持ち、盛装した花嫁のお尻をたたく、と云う行事。

嫁が家に居着くよう子宝に恵まれますようにと願い、村の一員として新妻を歓迎し紹介することが目的です

春日市にある『那国の丘資料館』(↓)にも

こんな案内板がありました。↓

なにはともあれ昔の風習ですから。現在とは色々と意味合いが違ってきます。

お嫁さんを祝福することが主な目的なわけで、つまり現在でいう「家内安全・安産祈願」ってところでしょうか。

書籍『嫁たたきと成木責め/増田勝機』の『嫁たたき』の章を参照しますと↓

かつては全国的に行われていて、とりたてて珍しいものではなかったようです。古くは『枕草子』にも記述があるみたい。

元々は姑(または夫)が嫁のお尻をたたいていたけれど、時代とともに子どもに変わっていったとのこと。

昭和37年に行われた調査では、風習が残る場所はわずかの事例にとどまったと。それからずいぶん経つ現在は果たして。

時代の流れと上手く折り合いをつけて、文化としての風習をこれからも引き継いでほしいものです。


【PR】お葬式の言葉と風習

【小倉住吉神社】

福岡県春日市小倉3丁目37