枝振りの 日毎にかはる 芙蓉かな 芭蕉【福岡市花02】
先日のこと。書籍『掌篇歳時記』を読んでいたところ、
町田康著「大雨時行」の始めのところにこんな一節がありましたので、ちょっと参照させていただきます(ありがとうございます)。
気色の悪い、まるで利己心丸出しみたいな花で、天の照らしが強すぎて全体的に衰弱した感じの庭木のなかでひとりギラギラと精を発していた
これは主人公大助が庭に咲く「芙蓉(フヨウ)」の花を表現した箇所。
おや!ま!芙蓉の花といえば!!
そうなんです。福岡市の夏の花は「芙蓉の花」ということを、この文章で思い出したのであった。こんにちは。
福岡市のHPによりますと、
市の木・花は、昭和54年10月に市制90周年記念事業の一環で制定したもの。一般公募の中から、町の木に「クロガネモチ」、広場の木に「クスノキ」が、また夏の花に「フヨウ」、冬の花に「サザンカ」が選ばれました
とありました。たしか昨年の秋と冬の季節に、
冬の市花「サザンカ」を探し求めて『花畑園芸場公園』まで足をのばしちゃったなあ。
で。そろそろ夏なのである。もうすぐやってくる恐怖の季節。夏の市花である「芙蓉」とはどういった花なのか、
今回、夏の訪れの前にディグっておこうと思います。
まずはwikipedia「フヨウ」から軽く参照させていただくと、↓
フヨウはアオイ科フヨウ属の落葉低木。「芙蓉」はハスの美称でもあることから、とくに区別する際には「木芙蓉」(もくふよう)とも呼ばれる。
日当たりのよいところを好み、暖地の海岸に近い林などに自生する。日本では関東地方以南で観賞用に栽培され、庭木や公園樹、街路樹としても植えられる
街路樹!?へえ。じゃあその辺で芙蓉の姿を見ることができるんです?続きます。↓
落葉広葉樹の低木で、幹は高さ1 – 4メートルになる。7から10月初めにかけてピンクや白で直径10-15cm程度の花をつける。朝咲いて夕方にはしぼむ1日花で、長期間にわたって毎日次々と開花する
もう少し続きます。
甑島列島(鹿児島県)の下甑町瀬々野浦ではフヨウの幹の皮を糸にして織った衣服(ビーダナシ)が日本で唯一確認。ビーダナシは軽くて涼しいために重宝がられ、裕福な家が晴れ着として着用したようである。現存するビーダナシは下甑島の歴史民俗資料館に展示されている4着のみであり、いずれも江戸時代か明治時代に織られたもの
とありました。芙蓉の話しより「ビーダナシ」が気になってしょうがないですが、それはまたの機会を待ちたい。
更なる「芙蓉」の情報を求め、図書館で3冊書籍を借りてきましたので、そちらからも一部参照させていただきます(ありがとうございます)。
まずはこちら。
『花と植物の俳句歳時記/監修 石田郷子』「芙蓉フヨウ」の項より(ありがとうございます)。
アオイ科落葉低木。花期8-9月。「芭蕉 枝振りの 日毎にかはる 芙蓉かな」。艶麗な花は美女に例えられる。美人薄命で、午前中に開くが夕方にはしぼむ一日花である。初秋の季語
お次にこちらの書籍。
『花の歳時記 秋/監修 鍵和田秞子』から「芙蓉フヨウ」の項を参照。
観賞用に庭園に植えられる。朝は白色、午後には淡紅色、夕方には紅色に変わり、翌朝にはしぼんでしまう。漢名「木芙蓉」。あでやかな中に新涼。妖しい美しさ
そして最後に、
『花の日本語/山下景子』「芙蓉フヨウ」の項より参照させていただきます(ありがとうございます)。
芙蓉は蓮の花のこと。蓮とよく似た花を咲かせる木ということで木芙蓉と呼ばれるのが現在私たちが芙蓉と呼ぶもの
ん?この文章は難解。というか芙蓉の定義が難解です。
まず「芙蓉=蓮(スイレン科)の花」とあって、その蓮の花に良く似た花を咲かせる木が「木芙蓉(アオイ科)」。二アリーイコール。
そして「木芙蓉」イコール「現在芙蓉と呼ばれるもの」。といった具合。まだ分かりづらいのできれいにまとめると→
「元々の芙蓉(スイレン科)=蓮の花(スイレン科)≒木芙蓉(アオイ科)=現在の芙蓉(アオイ科)」。で合ってます!?
閑話休題。話はずれるんですが。
「現在芙蓉と呼ばれるもの」って言い方。名曲パープルレインで知られるプリンスの改名謎シンボル「かつてプリンスと呼ばれれたアーティスト」に似てないですか?え?似てない?
お話は書籍からの参照に戻ります。↓
芙蓉には酔芙蓉という品種があって、色を変える姿がお酒に酔う美女の姿にもみえる
なるほどなるほど。なんともロマンティックな表現ですね、
と思った梅雨のある日のお話でした。ああまた夏が来る。完。