アナカンは航空会社未成年者向けサービス【夏樹静子/蒸発】

以前のことになりますが、作家夏樹静子氏の記念モニュメントが立つという『若久団地』を訪ねたお話をしたことがあります。あれワカヒサージュだったっけ。↓

その訪問をきっかけに、夏樹静子氏についてあれこれ学び知ったわけですが、それなのに!!

氏の作品については不勉強のまま、これまで1冊も読まずにいたのであった。ごめんなさい。

今回ふと思い立ち、いっちょ読んでみちゃおっかなと図書館へ向かい、

棚に並ぶ数ある書籍の中から、1972年に第26回日本推理作家協会賞を受賞したという『蒸発 ある愛の終わり』を借りて読んでみましたので、今回はそのお話をしたいです。

 

まず読んだ感想としましては、ページをめくるやいきなり物語にぐっと引き込まれ、そのまますらすらあっという間に最後まで読み終えたという感じです。

伏線回収っていうんですか、そういう仕掛けやトリックもちりばめてあり、読書後の爽快感もばっちり。だがしかし、

その一方で、すっきりしない箇所もいくつかあったっちゃああったんだけど、それはもちろん私自身の理解力と感受性の無さ、また時代背景の違いなんかも原因なんじゃないかな!?ナマイキごめんなさい。

それではまず、おおざっぱなあらすじを話していきたいと思います。ここからはネタばれしかしませんので、ご注意を。↓

主人公は既婚の新聞記者冬木と、不倫相手である主婦の朝岡美那子。

この二人を中心に物語は転がり始めます。冬木がベトナム戦争の取材のため現地へ行き、死亡説が流れるほどの危険な状況から帰国すると、

美那子は忽然と姿を消してしまっていたのでした。彼女の行方を追う冬木。なんと美那子の旦那そして息子にまで直接接触を図ります。だいたーん。でもそれって大丈夫なの?

肝心の美那子はというと、やたらと大がかりなトリックを駆使して行方をくらませながら、地元福岡へ逃避行。そして福岡中洲の地で水商売を始めるのでした。

でね、ここら辺りから、お話はなんとも血なまぐさい匂いを放ち始めるのです。

そもそも、どうして美那子が蒸発したのか。それは冬木との間に子どもを宿していたから。当時冬木死亡説を聞いた美那子は、なんとしてでも彼の子どもを産みたくなった。

それゆえの蒸発。でもちょっと待って!まだ冬木は死んだって決まってないんだよ!美那子早とちり!

まあそれはいいですよ。誰にでも失敗はあります。でもこの美那子という女、ちっともあらためない。

冬木無事帰還のニュースが流れても(知ってか知らずか)ガン無視!?美那子はただただ一直線。謎の勢いで突っ走るのである。で、ですよ。

その結果として、美那子、それから、美那子の昔の馴染みである丹野、さらに、丹野の部下である倉橋の三人が死亡してしまうという、連続殺人事件が発生。

そしてこの3件全部、美那子に振り回された旦那朝岡が犯人っていうね。もう勘弁して。いったん落ち着いて!詳細については是非読んでご確認ください!

さて、個人的には美那子にも冬木にも感情移入できないまま読み終えることになったわけですが、それは私の人生経験の少なさゆえなのか。時代感覚のズレも少しはあるかも。

でも推理小説としては、物語の目まぐるしい展開と種明かしの面白さにドキドキさせられっぱなしの、素晴らしい作品でした。難しいトリックもあったけど。そこはわりとスルーしました。

ストーリに関してついでに言うと、例えば西新や堅粕、油山そして糸島など見知った土地の名前が出てきたのも楽しかったです。

だって青山とか六本木とか新宿とか言われてもそんなの知らんから。終わり。


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